「転倒骨折の危険3倍」(読売)
というニュースがあったけれども。
まず直感的に,いくら何でも「3倍」という差はあり得ない。
おそらく,次のようなメカニズムが働いていると考える方が素直だろう:
- 肉を食べるような老人は,若い頃から体育会系で肉を食べ慣れているから,骨が頑丈
- 肉を食べるような老人は,それだけエネルギーを必要とするような活動をしており,その分,筋肉や骨が鍛えられている
つまり,肉を食べるような食生活を必要とするような要因によって,骨折しにくい状態になっているのであって,肉を食べることによって骨折しにくくなるわけではない。
もちろん,肉を食べることによって骨折しにくくなることは,この記事に書いてあるようにあり得ることだけれど,それを検証するためには,random assignmentをして検証する必要がある。
2002~06年、仙台市に住む70歳以上の877人の食生活を調査した。肉類を多く取る人、野菜を多く取る人、ご飯やみそ汁が中心の人に分け、骨折との関係を分析した。
とあるけれども,これだとおそらくそういったrandom assignmentしてないね。もちろん,random assignmentをするにはなかなか難しい問題があることは分かるんだけれど(この877人を,ランダムに3つのグループに分けて,「お前は肉食え」「お前は野菜食え」「お前はごはんと味噌汁だけ」(さすがにこれは極端だけどw)って命令しなければいけない)。
そういったことを抜きにして報道しちゃうメディア(ちなみにNHKの今朝の宮城県ニュースでもやってた)も,何かリテラシーないなぁ,と思ってしまう。ちょっと考えれば分かることだと思うんだけど。