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~ヘタレ研究者は今日も逝く~

bayes factor

昨日は,弁護士の某さん(←東大助教授やめて某有名事務所に行ったものの,そこもまたやめて(!)独立したあの人です。一つの職場に3年もたないってのはどーよ?次はどこに行くのか...)が仙台地裁での期日で来仙したので,そのクライアントの方も交えてだべり。前に書いたジャイアニズムペーパーが,企業法務担当者(≠弁護士)まわりで評判いいと聞いて(お世辞入ってるかもしれないけど)一安心。僕の民法系のペーパーは,「伝統的な民法理論って,実務の常識的感覚に疎くない?」ってところから出発してるのが多いので。

で,某さんの方から,修習所で刑裁教官と交わしたという議論を聞いて,かなりびっくり。どういうケースかというと:

ある携帯電話の番号は,その犯罪の真犯人以外は絶対知り得ない番号です。ところが,今問題になっている被疑者は,とある飲み屋で,その携帯番号と数字一つしか違わない番号をすらすらっともらしていました。

この事実は,この被疑者を真犯人と認定するための事実として使えるでしょうか?

そりゃとーぜん決定的証拠として使えるっしょ,というのが某さんと僕の感覚なのだけど,刑裁教官は,「こんなの使っちゃいかん」と教えるらしい。

太田せんせ流に,「証明度って要はbayes factorでしょ」というならば(←たったそれだけのことを言うために300頁近い本を書くなよ,という気もしなかったりするわけではなかったりもするけれど),この携帯電話番号という要素は,たいていのpriorを吹っ飛ばせる,かなり強力なbayes factorになる(だって10^7ですよ)。

で,某さんも,修習所では,そのことをちゃんと計算して見せて示したんだけど,その刑裁教官は全く理解してくれなかったとのこと。

うーん,日本の(刑事)裁判官って,かなりの確率音痴?