hopping around

~ヘタレ研究者は今日も逝く~

municipal museums

連邦の新型かっ!?というので人混みに逝くのはどーよ?と思いつつも,

日本の美術館名品展東京都美術館

に行ってきました。

日本中の公立美術館が,「うちの一番の売れっ子はこれです!」というのを出品してきてるので,意外に見応えがあるし,展示数も200点を超えているので,普通に見て3時間(ヘタレ基準)はかかる。もちろん,公立美術館なので,「あの画家がこういうの(スタイル/画題)書いてたの?」というのもママあるが,それはご愛敬。

ちなみに,我らが宮城県美術館は,まぁ普通に予想するなら,カンディンスキーかクレーに,佐藤忠良は「帽子・夏」だろー,と思っていたら,その通り,カンディンスキー高橋由一に帽子・夏でした。まぁ鉄板ですね。

しかし,それ以上に面白いのが,一つ一つの作品に寄せられた,各美術館のコメント。基本的には,出品されている作品がその美術館の売りであって,他のも是非足を運んで見に来てちょーだい,ということが書かれているのだけれど,色々味があって面白い。日本の画家たちについては,基本的には,ご当地の画家(出身・生活)が多いんだけれど,ときには,「ちょwwwww そのつながりはごーいんすぎるだろーwwww」と思うのがないでもない。たとえば,黒田清輝なら,普通に考えれば薩摩(鹿児島)なんだろうけれど,なぜか石見市立美術館が出品している。解説によると,石見出身の森鴎外が,何か政府関係の仕事で黒田清輝と一緒になったことがあったから,なのだそうだ。うはwwwwwwww

その他にも,現代美術とかを購入するときの,苦悩と使命感みたいなものが見えるところも,ほほえましい。新しい美術を購入するときには,その地域の住民の人たちに対する啓蒙効果を狙って購入するわけで,その意味で頑張るぞ!というキュレーターさんたちの意気込みが伺えるのだけれど,でもやっぱり,公立美術館ということで,さほど裕福なわけでもないし,その割には税金を払っている住民の視線が割と近くにあるから,「何でこういうのを買ったの?」ということを,きちんと住民に対して説明できないと,つらいものがある。

たとえば,徳島の美術館が,ピカソのドラ・マールの肖像を20年くらい前に購入した際には,「当時はピカソの芸術に対する理解があまりなく,県民の皆様からは『まるでお化けのようだ』という厳しいご意見を頂きました」が,「20年を経た今となっては当館の目玉のコレクションとなっています」なんて感じのコメントが書かれているのを読むと,何ともほほえましい。いや,いいお話じゃないですか。

そんなわけで,人混みを恐れずに出かける勇気があるならば(とはいえ,西美のるーぶるとか東博の阿修羅とかに注目が集まっているせいか,全然混んでなくて,空いてる),是非ともお勧めの展覧会。ごった煮状態でテーマ的な統一感はないけれど,楽しめることは保証できます。