データを読むと,いろいろなことが見えてくるっていうことの一例:
浄水場名検体数
検出された放射性物質(Bq/Kg)
放射性ヨウ素(I-131)
放射性セシウム(Cs-137)
放射性セシウム(Cs-134)
仙南・仙塩広域水道
3
460
11,373
9,584
不検出
17,138
14,838
不検出
不検出
不検出
大崎広域水道
3
不検出
569
506
不検出
1,393
1,583
不検出
不検出
不検出
大崎広域水道
1
不検出
198
184
仙塩工業用水道
1
不検出
257
177
仙台北部工業用水道
2
不検出
33
39
不検出
不検出
不検出
6月14日の調査:
浄水場名検出された放射性物質( B q / K g)
放射性ヨウ素
( I - 1 3 1)
( C s - 1 3 7)
( C s - 1 3 4)
仙南・仙塩広域水道
1 2 7 5 , 2 1 1 5 , 8 4 1
大崎広域水道
不検出不検出不検出
仙塩工業用水道
不検出不検出不検出
この2つの表(ちょっとここで引用したのはtableタグ使ってないので崩れてるけど)を「読む」っていうのは,どういうことなのかというと。
まず,6月8日のデータから分かることは:
- 白石・加美・大衡では,1つの浄水場から複数の検体がとられているけれども,各浄水場ごとの数値の分散は非常に大きい- このことは,同一浄水場内でも,どこから土を採取するかによって放射性物質の量は大きく異なることのあらわれ(たとえば,放射性物質が流れやすい場所では低くなるのに対し,たまりやすい場所では高くなる)
- 僕たち水道の利用者にとって興味があるのは,それらの場所のうち,水源に流れ込みやすい場所の土壌のデータだけれども(逆に,水源に影響を与えないような場所の土壌であれば,上水道への影響を考えるという意味では測定する意味はあまりない),それがどの値なのかは分からない
- とすると,そういった影響を与えうる可能性のある場所の土壌の放射能は,検体を1カ所しかとっていない浄水場でも,その値より高いかもしれないし,低いかもしれない(その分散の大きさは,複数の検体を採取している浄水場から推論できる)
- 地域差に着目すると,3月15日の爆発で影響を受けた福島に近い白石が高いけれども,3月12日の爆発で影響を受けているはずの県北の加美・大和・大衡の間でも分散は結構大きい
といったあたり。
次に,これと,6月14日のデータを比べてみると:
- 前述したように,僕たちに興味があるのは,水源に流れ込みやすい場所の土壌の放射能なわけだけれども,なぜ,どういう基準に基づいて検体を1カ所に減らしたのかは,明らかにされていない- すると,加美と仙台では,不検出になっているけれども,どちらも本当に不検出かどうかなのかは,怪しい
- ヨウ素の半減期は8日だけれども,セシウムの半減期は30年だから,雨による流出を考えても,セシウムまで不検出になっているのは,「水源に流れ込みやすい場所かどうか」で検体を選んだのではなく,「放射性物質が検出されやすい場所かどうか」で検体を選んだ可能性が推測される
- 白石についても,ヨウ素については(前回検出された場所と同じと考えれば),半減期よりやや多めの減少になっている(460→127)のに対し,セシウムが半分に減っているのは,あまりに減少しすぎであり,放射性物質が検出されにくい場所を選んで検体を採取した可能性が推測される
- そうすると,加美の土壌データも,仙台の土壌データも,(そして白石の土壌データも)あまり信頼性がない
- そうはいっても,白石で未だにヨウ素が127ベクレルもでてるってのは,3月15日に降って6月14日まで2ヶ月の間に半減期が11回は来ていることを考えると,元は少なくとも2^11=2048倍はあった(流出分を考えればもっと多かった)わけで,やっぱり県南はすごいな
といったあたりかな。
ちょっとしたデータであっても,それを眺めることでいろいろなことが分かるのです。