hopping around

~ヘタレ研究者は今日も逝く~

Phanom Rung

この日までは,何となくでいい加減な感じで旅を続けていたのだけれど,今日から2月に入ったので,もうそろそろ最終日まで何日にどこに行くかを決めておこうと前日の夜に計画を立て――途上国の旅では,できれば最終日の前日くらいには安全を見て出発地になる首都に入っておきたい――,本日の予定は,SurinからPhanom Rung遺跡を見つつKorat経由でPhimaiまで移動すること。

前に書いたように,午前中の涼しい時間帯に遺跡巡りをしたいので,早めに起きてチェックアウトし,ホテルの目の前のマーケットで朝ご飯として餅(?)のお菓子っぽいもの(10B)をげっつしてから,バスターミナルに向かう。これ,正体ははっきり分からないけれど,どうやら,餅米(いったん粉に引いた後にまとめてるかも)に色を付けて,ココナツファイバーをまぶしたものらしい。それ自体にはほとんど味が付いていないので,砂糖をもらってそれをまぶしながら食べる。

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SurinバスターミナルからKorat行きの274番のバスに乗って,Ban Takoという町まで行くのがとりあえずの計画。

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バスは午前7時発と言っていたのに,なぜか6時45分に出発し,1時間半ほどでBan Takoに到着(60B)。このTakoは,集落の中にバスターミナルがあるのかと思っていたら,そんなことはなく,ただ単にR24上のT字路にすぎなかった。

こんなところで降ろされて大丈夫なんだろーか?と思ったけれど,降りたところにある大衆食堂からモトサイのジャケットを着たおっちゃんが寄ってきて,「Phanom Rung?」と聞いてくる。あぁなるほど,このおっちゃんと交渉すればいいのね。

そこで,Takoを出発して,Phanom RungとMuang Tamを回ってまたTakoに戻ってくるのにいくらかと聞くと,600とふっかけてきた。ちょwwwwwwwww 300くらいに落としたいなぁと考えて値切ってみたけれど,350までしか下がらなかった。うーむ。ちなみにこのおっちゃん,僕と同じような外国人旅行客が良く来るのか,微妙に英語が出来ます(少なくとも数字については)。まぁ僕もいい加減,数字についてはタイ語が出来るようになり始めてるんだけど。まぁ,350Bということは1000円ちょっとだからまぁいいかと,バックパックを預かってもらってディパックで出発。割高な価格で妥協しちゃうと,それで相場が出来て後から来る観光客に外部性が発生するからねぇ。

まずはPhanom Rung遺跡へ。この遺跡は小高い丘の上にあるので,モトサイはローギアで登っていく。この前のKhao Phra Wiharnと言い,クメール人は,高いところに遺跡を神殿を造るのが好きだったんだろうか? この遺跡(40B)は,次々に観光バスの集団(タイ人)がやってきて,朝だというのに結構混んでいる。観光バス以外にも,タイ人が自家用車で次々に乗り付けてきて,駐車場は満車に近い。盛況ですねぇ。

遺跡は,立派な参道を進むと,ナーガに守られた橋(←これ以後,あっちこっちで見る)を渡った先に,回廊に囲まれたprangやlibraryが修復されてる。このPhanom Rungが,今回のタイ・イサーン旅行で訪れたクメール遺跡の中だと最高の出来じゃないだろうか。参道などは,黒いラテライトで作られているのに対し,回廊とその内部の建物は,基本的にピンクのsand stoneで作られている。どれも装飾が華やかに修復されていて,特に,中央のprangは,上部までずっと彫刻に覆われていて壮麗で美しい。午前の穏やかな太陽の光に映えるのをしばらく見物。いいっすねー。

彫刻の中には,盗まれた後,Art Institute of Chicago(!)で発見されて取り戻されたものもある:

ちなみに,ここを見てる間に,英語ガイドを連れた日本人女性一人旅に声をかけられました。Koratから車で来ているらしい。りっちだのー。この英語ガイドさんが盛んに僕を道連れにしたがっていたけど(この日本人女性に比べて僕の方が英語が出来て会話しやすいからか?),僕はモトサイで来ていてTakoにバックパックも置いてあるので,辞退。ちなみに,ここでは,しばしば,日本で山登りしたときのように,小石を積んでいるのをしばしば見かける。このガイドさんによると,これは,日本とは違って,事故の弔いとかではなく,タイ人にとっては「ここにもう一度やってくるぞ」という誓いを込めて1個小石を積み上げるらしい。ほーっ。

遺跡のゲートのちょっと手前には資料館があって,Phanom Rungの他にも,Muang Tamなど,この辺りからカンボジア国境にかけて広がっているクメール遺跡が紹介されてる。地図を見るとよく分かるけれど,Angkor Watから,Muang Tam・Phanom Rungを経由して,Phimaiまで至る,クメール王国の幹線道路が一直線に走っていて,それに沿ってクメールの遺跡が散らばっている。

その中で大きいのは,Phanom Rung/Muang Tam/Phimaiだけど,展示を見る限りでは,それ以外にも結構良さそうなものが結構ある。LPにはそれらへの行き方が一応書いてあるけれど,LP曰く,公共交通機関を使ってそれらを見に行くのは費用対効果が見合わないから,バイクか車をレンタルして自分で運転していくかツアーを組んでもらうしかない,とのこと。で,ヘタレな僕は,機会費用を考えてパス。大物だけに絞りました。

遺跡から出て,土産物屋の方に歩いていくと,何か裏手の側が騒がしい。裏手に回ってみると,タイ寺院との間にテントがたくさん出ていて,どうやらそこで無料で食事が振る舞われているらしい。お寺の施しか何かだろうか? どう見ても外国人なんだけど,紛れていただく。おしゃ。パッタイx2,センレック・ナームx1,センミー・ナームx1,飲み物x3,ソムタムx1をげっつ。麺系はどれもそこそこ(まぁ,自分であんまり唐辛子を入れすぎなければ,たいていきちんと出汁で味が付いてる)だったけれど,ソムタムがちょっとぎゃーって感じでした。Si Saketで激うまの経験を念頭にもらったんだけど,これは,唐辛子が滅茶苦茶入っていて,死ぬほど辛い。しばらく口の中の感覚がご逝去。うま味もあまり入ってない。ソムタムって,みんな目分量で混ぜてるから,作る人の腕で全然違う味になっちゃうんだなぁ,と納得。

待たせておいたモトサイのおっちゃんのところに戻って,今度は,丘を反対側に下っていって,Muang Tamへ。途中,モトサイが,減速せずに段差につっこんだので,シートの上で跳ねました。危ない危ない。おっちゃん,帰りのときはちゃんと減速してくれたけれど...

Muang Tam遺跡は,Phanom Rungに比べると,やや小さめで,人も少ない。とはいえ,Phanom Rungがあれほど混んでいたのは,さっきの施し(何かのお祭りだったんだろうか?)によるところが大きかったから,観光客だけの数で言えば,そんなに極端に少ないわけじゃない。遺跡自体は,こちらも結構規模は大きいし,ファサードの彫刻も良く復元されているので,見応えがある。造りは,Phanom Rungと同じく,基礎部分は黒いラテライト,その上の建物部分は色合いに優れたsand stoneで構成されている。ちなみに,この遺跡の北側にある巨大な池も,遺跡とのこと。シヴァ神の住処の近くにある大海を表しているそうで,だだっ広い長方形の池になっている。

入り口のはす向かいにある資料館に入ったら,日本語ビデオが流れててびっくり。ちょうど日本人観光客がやってきて,ガイドの人が日本語ビデオを売り込んでいたらしい。フリーライドさせてもらう。ぐふ。十分堪能したところで,モトサイのおっちゃんのところに戻って,Takoへ逆戻り。Phanom Rungの丘を非力なバイクの二人乗りで登るのは大変だから迂回するのかなと思っていたら,そんなことはせずに,エンジンをうならせながら同じ道を逆戻り。朝来るときは,まだ8時台で,Tシャツ1枚だと風を切るのがちょっと寒かったけれど,もうお昼なので,さすがに暑い。Takoの交差点に,12時20分頃帰着。

この交差点で,274番のSurin発Korat行きのバスをひたすら待つ。なんか,Bangkok行きのバスの方が多いなぁと飽きてきた頃,30分くらい経って274番が来たので,乗り込む。やっぱ暑い午後はエアコンバスが極楽~♪ 2時間30分ほどで,Koratの新バスターミナルに到着(80B)。初日にここを経由したから,久々に戻って来たことになる。冷静になって周囲を見まわすと,かなり広いバスターミナル。それはそのはずで,ここKoratは,Bangkok方面から来た場合に,イサーン地方の入り口に当たる場所で,東のUbon Rachathani方面や北のUdon Thani・Roi Et方面へと分岐するハブになっている。今日は一気にPhimaiに行きたいので,41番のバスに乗り込む。

15分ほどで出発し,1時間40分くらいでPhimaiに到着。ちょうど隣に座っていた女性が,英語が出来る人だったので,雑談して暇つぶし。Phimai出身だけど,今はSukhothaiに住んでいて9年ぶりに帰省するんだ,ということで,「昔は23Bだったのに何でこのバスは50Bもとるの?」とぼやいてたけど,多分その昔のバスはエアコン無しだったんぢゃない?とつっこんでおきました。

Phimaiでは,バスターミナルまで行かずに,時計塔ホー・ナーリカーで降りる。宿は,Old Phimai Guest Houseというところに行ってみた。シングル(なぜかベッドが3つあって,元ドミトリーじゃないか?という感じの広い部屋)1泊150B。このゲストハウス,欧米人の宿泊客がやたら多くて(今までのホテルではそんなこと全然なかったのに),ユースホステルっぽい雰囲気が漂ってる。トイレもタイ式ではなくて洋式なのがうれしい。洋式はタイに来て初めてだよ! 経営者っぽいおばさんは英語話せないけれど,その娘さん(中学生くらい?)が英語そこそこ出来るのも楽。だから欧米人が多いのか。頼むとくれる,Phimai市街の地図も分かりやすくてネ申です。この地図によると,Sai Ngram公園まで1.7kmとあったので,もう午後6時で暗くなり始めてたけれど,行けないことはないだろうと思って歩き始めてみる。15分くらいで到着。ここはbanyan(ベンガル菩提樹)の大木の群生があるところ。日中だと,強い太陽光を遮ってくれて快適で神秘的なのかもしれないけれど,薄暗くなっている状態だと,むしろ気味が悪い。気根がたくさん垂れ下がってるあたりが特に。なんというか,ナウシカとかラピュタっぽい感じです。宮崎駿は,これを見てあれらを作ったのかもしれない。

(←「正しい」banyan treeの使い方)

夕食は,ホー・ナーリカーの周辺にのナイトマーケットで,ラープらしき生の内蔵肉の和え物(20B)をげっつしてから,屋台街でセンレック・ナーム(20B)とあわせる。今日は麺の日だなぁ。センレックは,そのままではさっぱりしてるけれど,このラープもどきを投入すると,結構こってりした味に。なかなかいけます。最後は,ナイトマーケットで,タピオカと寒天入りのココナッツミルクをげっつ(5B)。弾力あるタピオカと,かりっとした寒天だと,食感が違うから面白い。

phimai_dinner08.jpg

(↑VR18-200mmにフード着けたままD300の内臓フラッシュをたくと,フードでケラレが発生するorz)

ちなみに,宿のベッドは,またまた硬かった。これだと背骨が痛くなるんだけどなぁ... タイはこれがデフォルトなんだろうか?