hopping around

~ヘタレ研究者は今日も逝く~

purging security interests

今は亡き滌除だけど,そんなに悪い制度だったのかなぁ,というのがよく分からない。まぁ,増価競売の行方が読みづらくてcoerciveな効果を持つという点はさておき,よく言われていたのは,「担保権実行時期を担保権者が自由に選べない」という点だけど,それってそんなにまずいんだろーか(ここのところは,今の担保権消滅請求にも通ずるが)。

典型的には,担保不動産の価値が下がって被担保債権額を下回ってしまった場合に,担保不動産の価値が被担保債権を上回るように不動産市況が回復するまで待ってから競売するなり任意売却するなりしたいのに,滌除権者によって強制的に換価される,と言うんだけども。

- そもそも明確に権利範囲が確定されていれば,後は当事者間で効率的に利益分配されるはずなのが,原則だよね

- 換価時期を選べるっていうことは,要するにオプションを保有しているわけで,そのオプションの価値は当然正であって,そのオプションを,担保権者に与えるか,滌除権者に与えるか,って話だよね

- でも,そのオプションって,結構広範囲なオプションであって,抵当権者がこのオプションを持っていると,事実上この担保不動産を取得しようという人は現れないから,不動産の利用状態にまで影響を及ぼしうる効果を持つ

- そうすると,抵当権者がオプションを持つという法制度の下では,不動産を直接利用収益してない抵当権者よりも,抵当権設定者―第三取得者のラインの方が,この不動産の効率的利用法についてより多くの情報を有している蓋然性が強いのにもかかわらず,オプション放棄の対価まで支払わないと,抵当権者は抵当権抹消に応じてくれないことになる

こう考えてくると,事後的に過小な不動産利用になる,っていう気がするんだけど,これでいいのかなぁ。オプション料の存在が,coasean bargainingによる効率的な結果実現を妨げるわけ。

# BGMはBartok Violin Concert (by Chung Kyung-Wha)