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~ヘタレ研究者は今日も逝く~

references

『支払決済法』解題シリーズ・その5。

今回のお題は「文献解題」。

この本は,教科書としての性格から,参照文献を示すための注を全く付けないことにしたんだけど,参考文献リストもついていない。読者のためを考えたならば,各章毎に参考文献リストを付けた方が丁寧だよねぇ,とは考えたものの,こづやんが

参考文献リストを作ると,「何で○○は載っているのに,××は載ってないんだ」って絶対に言われることになって面倒くさいことになるから,止めようよ

とのたまい,このような高度に政治的な判断から,参考文献リストは掲載されないことになりました。有斐閣の百選が,全国の大学で売るために,玉石混淆になることに目をつぶって全国の先生にバランス良く書かせているのと同じようなものかとw

でも,このブログでは,そういった高度に政治的な判断をしなくてもよいと思われるので,僕が執筆を担当した部分だけでも,参考文献リストを掲げておくので,参考にして下さい。ただ,論文を1本1本挙げてくのは面倒なので,基本的に本だけ。

ちなみに,同じような高度に政治的な判断は,序文でも既にあって。

僕が書いたオリジナルバージョンだと,「鈴木竹雄博士の体系書『手形法小切手法』の叙述の順序を再び逆転させる」って明示的に書いてあるけれど,こづやんの検閲により,最終版では固有名詞は出さないようにぼかされている。曰く,

その固有名詞出すと,「私は鈴木先生の教えを受けたけれど,こんなのは...」とか言い出す人が絶対にいるから止めようよ

と。あー,確かに邪○せんせが出てきそうだw

余談はともかく,本題に入ろう。

第1章。USのケースブックをいくつか参照した他は,ほとんど僕がオリジナルで書いているので,あんまり参考文献はない。強いて挙げるなら,

- Clayton P. Gillette, Robert E. Scott, and Alan Schwartz "Payment Systems And Credit Instruments" (Foundation Press, 2nd ed.)

- Ronald J. Mann, "Payment Systems and Other Financial Transactions: Cases, Materials and Problems" (Aspen, 4th ed.)

- Ronald J. Mann, "Charging Ahead"

あたり。詳しいことは各章の叙述へと。

第2章。こづやん担当なのでパス(あ,他の人の担当箇所とは言え,全て互いに目を通してチェックしています)。ちなみに,資金決済法とか電子記録債権とかは,本書で書いてあるのは,「もの考え方の筋道」なので(だって教科書だし),細かい論点については,各社から出ている逐条解説本なんかを参照して下さい。個別の支払手段ごとに詳細に記述してたら,この厚さで収まらないし,弘人タソの求める「概説書」になる。

第3章。ここはいい参考文献が結構多い。

- 岩原紳作『電子決済と法』(有斐閣

- 日本銀行金融研究所編『増補版 新しい日本銀行 その機能と業務』(有斐閣

- 中島真志=宿輪純一『決済システムのすべて 第2版』(東洋経済

ちなみに,日銀の中の人によると,『新しい日本銀行』については,決済周りで記述が不備な点があるので,改訂を予定しているとのこと(一応,『支払決済法』は,その不備な点の修正にも配慮してあります)。Basel committeeに関係する点で,やや細かいので,普通の人はそこまで気にしなくていいはず。

第4・5・6章。ここは逆にいい参考文献がなかなかないw それでも一番に挙げるならやはり,

- 坂井芳雄『手形法小切手法の理解』(法曹会)

手形法も条文解釈だよっていうことと,訴訟上の立証責任などにまで配慮しているという点で,唯一無二のすばらしい本。でも,これはどうやら品切れ(絶版?)になってるみたいで入手しにくそう。そうすると次善の策を探さなければいけないんだけれど,難しい。コンパクトに行くなら

- 河本一郎約束手形法入門』(有斐閣

かな。これとは別に,考え方という点なら,

- 法学教室の「論点再考シリーズ・手形法」の特集回

- Clayton P. Gillette, Robert E. Scott, and Alan Schwartz "Payment Systems And Credit Instruments" (Foundation Press, 2nd ed.)

あたりか。

第7章・第8章。こづやん担当なのでパス。例によって例のごとく,細かい論点は,逐条解説本とか一問一答本とかをば。

第9章。本書全体が参考文献。