昨日の環境法ゼミで
家電リサイクル法なんかだと,リサイクル費用として明示的に消費者負担になるのはごくわずか(運送コスト程度)で,環境コストの大部分はメーカー負担になるんだけど,その負担額は販売時に明示されない(暗黙のうちに転嫁されている)のに,電力料金の場合には,太陽光発電のような環境コストが明示されて転嫁されているのはなぜだろう?
って点が話題になった。
で,考えられたのは,環境コストを消費者に明示的に負担させるか,それとも黙示のうちに負担させるかについては,その財の消費量に関してのポリシーが影響しているんではないか,という仮説。
つまり,電力料金の場合は,電力消費はできるだけ節約してもらった方が国民経済全体から見ると(あるいは地球の将来から見ても?)ベターだ。そうだとすると,「あなたの行動で,これだけの環境コストが発生しているんですよ」ということを間接的にでも知らせて,消費者に節電インセンティヴを与えた方が望ましい。
これに対し,家電の場合だと,消費者に購入行動の節約をしてもらうのは国民経済的に望ましいことではないかもしれず(少なくともGDPは下がりそうだ),また逆に,電力に比べて消費行動は頻繁で日常的ではないから,環境コストを明示することによって消費者の行動が変化するということもあまり期待できそうにない――たとえば,リサイクルコストが1万円かかると分かったからと言って,冷蔵庫の買い控えをする消費者はあまりいなさそうだ。
そういうポリシーによって,環境コスト負担の明示・黙示の転嫁は区別されてるんだろーか?