ちょっと前に,Journal of Econometricsでstructural vs reduced formな特集があるって書いたけど,他のところでも同じような特集が連続してある。
まずは,JEPの"Con out of Econometrics"。このシンポジウムタイトルは,もちろん,econometricsをやったことのある人なら誰でも読んだことがあるであろうLeamerのペーパーからとられてる。
それから,JELの"Estimation of Treatment Effects"。
それぞれの特集の雰囲気は多少違っていて,JofEconometricsとJELが,strucuturalistたちがexperimentalistたちを「ぼこぼこにしてやんよ ( ・ω・)っ≡つ ババババ」という感じで正面から戦いを挑んでいるのに対し,JEPの戦いは割とマイルドで,「structuralとexperimentalはあう分野とあわない分野があるから棲み分ければいいんじゃ?」という感じになってる。もちろんこの辺の違いは,執筆者が誰なのかってことがかなり影響してるんだけどもw
それはともかくとして,こういった特集が何で連続して組まれるんだろうか,というところの方が興味深い。想像するに,次のような大きな流れがeconometricsの世界であるんだろう。
- 1990年前後に,AngristやImbensらによってIVが「再発見」されて以来,「猫も杓子もIV (natural experiment)」っていう動きが出てきた- その潮流の一つの象徴が,Levitt
- けれども,Levittに象徴されるような行き方では,経済学がダメになるとの危機感が共有されるようになる
- そこで,経済学の復権をもくろんでstrucuralistたちが猛攻勢をかける(←今ここ)
おそらくこれでだいたいあってるんじゃないだろうか(専門家の人,間違っていたら教えて)。
もっとも,experimentalistがそんなに分が悪いかというと,(やり方や分野にもよるけど)そうでもない。今年のClark medalをとったDufloなんて,field experimentをやるdevelopment economicsの人だしね: