hopping around

~ヘタレ研究者は今日も逝く~

how to make a crossing?

某結婚ショックからようやく立ち直ったらしい某氏から,「横断歩道を渡れずに困ってる人がいても信号の場所を教えるのはもうやめました」との宣言が:

http://www.youtube.com/watch?v=CTgmeiBgwes

信号のない横断歩道を渡るとき(もしくは,横断歩道のないところを渡るとき=jaywalk),どうしたらいいんだろーか,という問題に対する回答は色々あり得ますが,ヘタレ的には

とりあえず渡り始めてみる

でいいんじゃないかと。なんでかっていうと,ここはまず,ドライバーの立場になって考えてみませう。前方に歩行者確認→このままブレーキ踏まずに突っ込んだ場合,人をひいてしまい,損害賠償責任とか刑事責任とか負う羽目になる→それはイヤだからブレーキを踏もう,と考えるのが普通のドライバーでしょう。ってことは,とりあえず渡ってみても,車が止まってくれるわけで,けがすることは(普通)あり得ません。

似たようなことは,京大の数学の先生だった森毅が,「赤信号一人で渡れば怖くない」というかなり昔のエッセイでも書いてました。曰く,みんなで信号無視をすると,無視している歩行者間でモニタリングのフリーライドが起こりかねないのに対し,一人で信号無視すると,ドライバーの方が注意してくれるからかえって安全だ,と。

てなわけで,僕も結構「とりあえず渡ってみる」をやってきましたが,確かに車は止まってくれて結構安全です。少なくとも日本では。この辺は相手と国によります。

上のロジックで効いているのは,「損害賠償責任とか刑事責任とか」のthreatですが,これが効きそうにないドライバだとヤバイ。刑事責任を何とも思わないそれ系の人とか,保険に入ってなくて損害賠償責任を重視しない人(←この辺を,ファイナンスの用語では,有限責任のもたらすasset substitution効果とも言う)とか。そういう車が近づいているときは,渡り始めない方がよい。それともちろん,こういった法ルールのエンフォースメントの実効性が低いところでも同じです。

それと,「損害賠償責任」の大きさは,「生命の価値」に依存して決まります。ってことは,Beckerの"Value of Life"のように,国によって生命の価値が違うから,生命の価値が低いところでは,ヤバイです。スワジランドとかペルーとか。

それと最後に,「損害賠償責任とか刑事責任とか」の発動の有無は,その国の交通慣習にも依存します。「歩行者は絶対に車が通っていない横断歩道しか渡らない」という慣習が成立している国で,車を無視して横断歩道を渡り始めたら,それでひかれても過失が認定してもらえない可能性があり,そうすると,そのことを予測するドライバーはブレーキを踏んでくれません。

だと思うんだけど。えぇ。