昨日の研究会での「正しい日本語教室」:
- 「せいきゅうをしりぞける」を漢字で書きなさい
×:請求を退ける
○:請求を斥ける
なんでも,「退く」という自動詞での使い方はあっても,「退ける」と他動詞で使うのはおかしいらしい。ふーん。
- 「そちをとる」を漢字で書きなさい
×:措置を取る
?:措置を採る
?:措置を執る
一つ目がおかしいのは割と明らかだけど,2つめと3つめは意見が分かれた。僕はわりと「採る」派なんだけど,それは,(1)複数のオプションの中から「この措置だ」って選んでくる,というイメージがある,(2)なんか「執る」だと大げさな感じ,というのが理由。これに対し,「執る」派の方が多くて,その言い分は,(1)「採る」だと選択肢っぽい,(2)やっぱ既に決まっているものを粛々と執行するイメージでしょ,ということらしい。行政法なんかだと「執る」派になりやすいのかなぁ?
- 「轢過する」っていう言葉を使ってた判決があったけど,普通なかなか使わないよねぇ
保険の事案で,ある人が1台目の車にはねられた後,後続車両に「れき過」された,と。あれ?と思ったのは,普通,車とぶつかるときって,はねとばされるものであって,車の下側に入って「轢かれる」ことって滅多にないよねぇ,というところ。この後続車両というのは,ロードクリアランスの高いSUVか何かだったんだろうか?
ちなみに,車に「轢かれる」ケースが滅多にないことを考えると,道交法の「ひき逃げ」って本当はおかしくて,「当て逃げ」って言わないといけないんぢゃないだろうかという気がしないでもない。
ここから先は法律のお話。
- 会社法350条を使って株主を救済するのって,なんか気持ち悪いよねぇ
まぁ,国賠請求もメカニズムは同じなんだけど。憲法とか行政法の人は,国賠って気持ち悪いって思わないんだろうか?
なんてことを検討している判決があった。動産(磁気カード)としてのプリペイドカードを即時取得しても,そこに載っている権利の善意取得はないでしょ,ふつー。でもまぁ,まじめに考えてみると結構難しい。
発行者の元のカード所有者に対する責任は,おそらく,カード取得者に対する支払によって免責されるっていう約款が,カード発行時に交わされているだろうから,あんまり問題ない。問題は,取得したカードを使ってサービス等の提供を受けちゃった人。権利の善意取得がなければ,不当利得になるから,元の所有者からの不当利得返還請求に応じる必要がありそうに見えるんだけど,どうなんだろう。前主から購入していれば,その分の不当「利得」はない,と構成するとかでもしてあげないとなんだかねぇ(←こういう構成の仕方をすると,何となく英米法のholder in due courseに近い感じが)。