hopping around

~ヘタレ研究者は今日も逝く~

conferences 2007

さすがに,3日連続で飲み会が続くというのはどーよ?という気もするけれど,学会が終わって仙台に帰ってきました。これでしばらく普通の生活に戻る。

初日は,見事に迷って遅刻。nyさんは「ホショウが足りない」と言っていて,僕とかK@目白君が,「え?保証?」と思っていたら,「歩哨」だったそうです。それって日常用語ぢゃないんぢゃないかな...

遅刻して入ろうとしたら結構混んでいたので,質問用紙だけもらって(←昼休み有効活用のためには最初にげっつするのが吉)引き返して商事法務の人とだべっていたら,水野せんせとか角せんせが遅れてやってきて,「私たち一番前でもおっけーよ」とか言うので,二人について一番前の席に行きました。なんつー組み合わせなんでしょうね。しかも,一番前で,僕は内職→質問書き→内職。水野せんせも最初内職。

まぁ,その後は,あちこちで「迫害」受けましたが(ぶほ),結構楽しめました。笑いも取れたしね。

個別報告では,月曜日の海法学会での国交省の人の報告がもうネ甲でした。あれが今年最高の報告だと思います。国益と業界利益と省益と論理の飛躍とが交錯した,突っ込みどころ満載の報告で,聞きながら笑い転げてました。毎年やってほしいなぁ...

他では,私法学会の集合債権譲渡の報告した藤井さんは,担保の本質が分かってないなぁという感じ(しかし後で修せんせとかFさんとかと話したら,この二人は分かってた)で今市。ただ,これについてのコメントは,ちょっと今自分で書いてるペーパーと被っているので控えます。

契約改定をやった吉政さんは,民法にしてはよくやってるじゃん,というとこですが,でもやっぱ民法らしく詰めが甘いです。というか,藤田せんせとか結構みんなが指摘してきているのに,未だにその誤解を引きずっているのかよ,と思いました。どういうことかというと:

まず,「当初の契約でリスク配分していない」という場合に少なくとも2つのケースがある。その1。当事者が,面倒くさいとかなんだとかいう理由で,自分たちで決めずに裁判所のex postの決定に委ねているケース(A)。その2。当事者がマジで全然予測してなかったケース(B)。

ケースAの場合には,リスク配分してないだけで,裁判所の介入が正当化されることになる。その先どういう判断を下すべきかは,まぁ,ex anteの行動への影響を考えて決めてね,ということになるけれど,まぁ例えば社会規範とかでもいいのかもしれない(ぇ)。それを当事者が予測してるのならね。

でも,ケースBの場合は,当事者がex anteに予測してなかったのだから,事後にどういう風に権原を割り振ろうと,それは分配の問題に過ぎなくて,ex anteのインセンティヴに影響を与えないから,裁判所の介入は必要ない(レジュメで言えば分析視角①をまだクリアしてない)。別の言い方をするなら,「コースの定理」が成立する範囲では,どういう結論をとろうと,結局,そのex postの交渉のレベルで最適解が実現されて,しかもそれはex anteのインセンティヴに影響を与えない。そうなると,ケースBで裁判所の介入が正当化されるためには,(1)当事者間の交渉に委ねたのではうまくいかない要因が存在して,かつ,(2)それが裁判所の介入によって改善できる,ということまで言わないといけない。

で,ここのところでまた誤解があって,「かんけいとくしゅてきとーしでろっくいんがあって」というのが介入の正当化根拠として挙げられるんだけれど,これはもう言い尽くされているように,それだけでは別に正当化根拠には全然ならなくて(単に分配の問題だから),事前のインセンティヴが歪むとか交渉が歪むとかまで言わなければいけないはずなんだけれど,それを全く言わないってどーゆーことよ?と思うわけです。

も一つ言うと,ケースAとケースBは,理念的にはきれいに分かれるけれど,実際には結構区別が難しいかもしれなくて,実はケースAが結構あるのかもしれない。その場合には,確かに「リスク配分の合意不存在→裁判所介入正当化」とつなげるけれど,少なくともこの報告はそういう組み立てになってないのですね。

というわけで,民法の人にしては頑張ってるんだけど,まだまだだねぇ,という感じ。