hopping around

~ヘタレ研究者は今日も逝く~

PG-12, R-15

こういうペーパー大好き:

Does Movie Violence Increase Violent Crime?

Gordon Dahl and Stefano DellaVigna

暴力的な映画(その他,TV番組とかゲームとか)によって,犯罪が増える,だからそういうのは規制すべきだ,というのがよくある話だけれど,実はそれは逆だった。

暴力的な映画は犯罪を減らす

んだって。何でか。

答えは非常に素直なロジックで,暴力的な映画が上映されると,犯罪を犯しやすいcohortがその映画を見に行くから,犯罪を犯す暇がなくなる。つまり,こういうcohortの人たちにとっては,時間の使い方として,(a)暴力的な映画を見る,(b)犯罪的な行動に携わる,の2つの選択肢があって,(a)を選ぶと言うことの代替効果によって(b)が減るぞ,ということ。

このため,*短期的*には,毎週末あたり(←USでは毎週末を狙って新作映画が公開されて,そこでどばっと興行収入を稼ぐのが基本的な映画ビジネスモデル)1000件の犯罪件数の減少があると推定される,とのこと。

いやはや。

憲法表現の自由の問題,作りにくくなるね(←対岸の火事)。

ちょっと気になるのは,犯罪件数が減るのが,犯罪cohortが路上に出なくなるからなのか,それとも,被害者cohortが路上に出なくなるからなのか,そのどっちが影響しているのをidentifyできるんだろーか?というところ。ちとモデルの組み方が難しいかも。

ちなみに,R-18でも似たモデルが使えるんだろうか?

――――――

(4月7日追記)

ちなみに,PG型の規制は,大人に対して「みるな」というのではなく,「子供はみてはいけません」型の規制だから,上のロジックは当てはまらない,というのは間違い。PG型の規制によって,暴力的な映画の供給が減ること自体が問題だから。