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~ヘタレ研究者は今日も逝く~

ABL

仙台銀、家電の在庫担保に融資

日経

という記事が昨日の日経東北面に出ていて。

以前,ある院生さん(それと小粥さん)と話したことがあるのだけれど,「ABLを活用しよう!」ってかけ声をかける人は,一部の実務家や学者に多いんだけど,その人たちはABLが果たしうる役割というのをあんまり理解してないよねぇ,という話になったのを思い出した。

『金融取引における情報と法』でも書いたことだけれど,ABLを使うことの大きな意義は,それによって債務者の経営状態に関するさまざまな情報を得ることができることだ(換価可能性は大して意味を持たない)。

だとすると,既に債務者企業のメインバンクとなっていて,当座口座を自行に開設させていたり,その他のさまざまな情報を得ているような銀行が(宮城県だと某七十七銀行とか)ABLを使ったとしても,それによって追加的に得られる情報というのは,さして多くない。

これに対し,メインバンクではなく,セカンドバンク・サードバンクとして融資している銀行にとっては,ABLを使うことによって追加的な情報を得られるし,将来的にはメインバンクの地位を奪い取る端緒に使えるかもしれない(USの融資実務的には,包括的なABLをとった融資者一人だけが融資を行うのが基本)。逆に,メインバンクとしては,そういったことをされないようにあらかじめ「予防」するためにABLをとっておく,というのはありかもしれないが。

で,そうすると,上の記事にある仙台銀行は,メインバンクでなく,2位以下で融資していることが多いだろうから,ABLに力を入れたくなるのも分かるなぁ,ということ。逆に,某七十七銀行には,ABLを使おうというインセンティヴはあまり生まれてこないのだ。